シャープは、液晶パネルを手掛けるディスプレー事業を分社化し、三重地区・亀山市に「シャープディスプレイテクノロジー」(SDTC)として10月1日に設立した。
他社との協業や株式市場への上場も視野に、外部資金を調達しやすい態勢を整備。液晶、有機ELの先を見据えた「次世代ディスプレー」の開発を進め、韓国勢に後れをとるディスプレー市場でのシェア奪還を狙う。
新会社「SDTC」はシャープの完全子会社となり同事業を継承する。数千億円が必要な次世代ディスプレーの開発資金を外部から得やすくする。
本社を亀山事業所(三重県亀山市)に置き、シャープの同事業トップである桶谷(おけたに)大亥(たいみ)氏が会長、親会社の台湾・鴻海(ホンハイ)精密工業出身の王建二常務が社長に就く。
開発の核となる技術は試作段階の「マイクロ発光ダイオード(LED)」
マイクロ(100万分の1)メートル単位まで小さくした赤、青、緑のLEDをパネルに敷き詰め映像を表示する。
特徴は明るさ、明暗の強さなど。テレビやスマートフォン、メガネ型のウェアラブル端末などへの活用が期待できる。
ほかのディスプレーのうち、液晶は背面からバックライトで照らしシャッターを使って光量を調節するため電力の効率が悪い。完全にはバックライトの光を遮れず明暗も強くならない。マイクロLEDは自ら光るためこうした欠点がない。
また、有機ELは自ら光るが有機物質を使っているため耐久性で劣り、寿命が長くない。品質の安定した無機物質を使うマイクロLEDは耐久性が優れている。
かつてシャープは液晶技術で世界の薄型テレビ市場の大きなシェアを占めていた。ここ数年の高価格帯機種では有機ELが主流で、韓国のサムスン電子やLGエレクトロニクスの後塵(こうじん)を拝している。
マイクロLEDで巻き返しを狙うが、課題は性能の優秀さのアピールに成功し、メーカーによる採用につなげられるかだ。
開発コストが高く、量産態勢を作り低価格化できるかも課題となる。ライバルのソニーやサムスンが発売している製品も高額な商業用だ。
シャープは量産に向け、8月に購入を決めたジャパンディスプレイ(JDI)の白山工場(石川県)の活用も検討する。
2020.9.28. SankeiBizを参照、一部抜粋