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芙蓉峰を望む 秋山玉山
亭 崑崙の雪を掬し
之を 扶桑の東に置く
突兀たり 五千仞
芙蓉 碧空に挿む |
【語釈】
帝 :天帝。天の神様
崑崙 :中国、古代神話上の山。霊魂の山の意。
中国の古代信仰では神霊は聖山によって天にのぼると
信じられていたが、崑崙山は最も神聖な山で大地の
両極にあるとされた。
また黄河がここに源を発するとされていた。
掬 :両手ですくい取る
扶桑 :中国の伝説に、東方の日の出る所にあるという神木。
中国東方にある国。日本国の異称。扶桑国。
突兀 :山などの険しくそびえ、高く突き出したさま。
芙蓉 :蓮の花の形に似た山。富士山の異称。
五千仞:「仞」は人が両手を広げた長さ(ひろ)。
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秋山 玉山[1702(元禄15年) - 1763(宝暦13年)]
江戸中期熊本藩の儒者。名は定政・儀。字は子羽(しう)。号は玉山・青柯(せいか)。
十代で儒学・禅学を学び、その後江戸で林 鳳岡(はやし ほうこう)に師事し研鑽を積む。
肥後に帰って藩校時習館(じしゅうかん)の設立に尽力、初代の提学(教授)となる。
服部南郭、高野蘭亭らと交遊があった。詩人としては一字一句をおろそかにせず推敲を重ね、
特に五言絶句を得意とした。
頼山陽も新井白石・祇園南海・梁田蛻巌・秋山玉山を「正徳期の四大詩人」と推奨している。
著書に『校正墨子全集』『玉山先生詩集』。
出典・『玉山先生詩集』巻5
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