禁門を過ぐ 齋藤 拙堂 金殿崔嵬彩霞より出で 御溝汨汨清沙に走る 春風隔てず仙凡の界 吹いて人衣に落とす上苑の花 |
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【齋藤 拙堂】 寛政9年(1797年)慶応元年7月18日(1865年9月7日)享年69歳。 |
【通 釈】 この詩は、地元津市の儒学者・斉藤拙堂の都人を思う7言絶句である。 御所の宮殿は高く美しい霞の上にそびえ、お堀の水はさらさらと清らかな沙の上を 走っている。もちろん宮園の内に世人は近づくことはかなわないのだが、 春風は畏き辺りと、世間とを隔てることなく吹きわたり、門前を通る人の衣の上に 御苑の花を吹き落すのである。このような宮殿の内がとっても気にかかるのである。 【余 説】 この詩は柴野栗山の「月夜禁垣の外を歩む」と好一対といわれている。 |