【詩の心】
君の好きな酒を用意したよ。
どうか大いに飲んでゆったりした気分になりたまえ。
人情のくるくる変わるのは、ちょうど大波小波が定まりのないのに似ている。
ともに白髪になるまでつき合った仲でも、利害のためには互いに剣を取って争うこともあるし、
先に出世をして朱塗りの門構えの家に住む人間も、推薦を頼みに待つ者を却って嘲笑したりする。
草の色が春の雨にしっとりと潤い、
花の枝のつぼみも開こうとしているのにまだ春の風は冷たく吹く。
世の中のことはすべて浮雲の如くはかないもので問題にするに足りない。
むしろ枕を高くして悠々と眠って英気を養うに越したことはないのだ。
友人、裴迪の心を慰める作者の心情がよくあらわれている詩である。
ゆったりと、しみじみとした気分でこの詩を吟じてみたい。
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